社会問題解決の為にコンサルを目指すという「ソーシャルインパクト志望動機はアリ?

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金融・コンサルを志望されている方の中には、環境問題、貧困問題、教育問題などなど、社会問題を解決するためにコンサルや投資銀行を目指す、などと志望動機で述べられる方が毎年沢山いらっしゃいます。実際に資本主義と民主主義が地球の持続可能性を守れないという制度疲弊を起こす中、ESGへの関心も高まりを見せていいます。しかしながら志望先企業に「そんなプロジェクト、ウチにはないんだけどなぁ。。」と首を傾げられることも多々あるので、くれぐれも気を付けましょう。

社会問題解決の為にコンサルを目指すという「ソーシャルインパクト志望動機はアリ?

◆質問:慶應義塾大学法学部UTさん志望動機事例

私の将来の夢は故郷の過疎化という社会問題を解決したいというものです。

また、そういったバックグラウンドもあることからあらゆる社会問題を意識するようになり、それらの解決に少しでも貢献できれば、と思っております。 

大学では法律を学んでいましたが、弁護士や公務員になったとしてもできることは限られているということに気付き、早い段階から就職を意識していました。 

当初は実際に社会問題を解決する活動を行っているNPOなどに入るのも一つの手段と考えておりましたが、ボランティア活動などを通して考えてみればそれはただ社会問題の表面上の解決にしかならないと感じました。

 そして、今では社会問題を解決するには多くの人々の共感とエネルギー、巨額の資金、卓越した問題解決能力をもったリーダーなどが必要ではないかと考えております。

 そういった意味で人々に社会問題の現状を伝え奮起させたいという思いからマスコミ、巨額の資金を扱うという面からは金融、問題解決能力を養うという意味では戦略コンサル業界に進むのが適当ではないかと思っています。

そして特に若いうちからある程度の裁量権を与えられ、通常のビジネスパーソンとしての能力+高度の専門性をもった知識、能力を養えるという点、そしてたとえ私が上記の夢を達成する道へ進むことにならなくとも、自分の可能性を拡大できるという点から外資系の金融、コンサルへの就職を希望するようになり ました。

果たして私の夢を達成する上でのファーストキャリアとして、外資系金融/コンサルという選択肢は適当なのでしょうか?

それとも違った道を選ぶべきなのでしょうか?よろしくお願い致します。

社会問題解決の為に、コンサルを経験するパターン、金融を経験するパターン、そしていきなり飛び込むパターン

私はあなたの、誠実な人柄と正直な問題意識を歓迎します。また論理展開は整然としており、絞り込みプロセスもコンサル好みです。

回答を先に書けば、上記の夢を達成する道に進まなくても自分の可能性を拡大するという意味でしたら、マッキンゼーなどの戦略ファームトップはよい機会と人脈、スキルとマインドセットをあなたに提供するでしょう。

ただ、今回は志望動機と外銀やコンサル志望の整合性について書かせて頂きます。

残念ながら優秀な外資コンサル志望の皆様の中で多くの方が、コンサルに入ることと将来やりたいこととの間に大きな乖離があり、結果的に的外れな志望動機”で面接で損をしているケースが多いためです。

本コラムでは、私の周りで実在した、コンサル経験を通じて社会問題解決に向かったパターン、また金融を経由したパターン、そして、何も経験せずいきなり起業したパターンを紹介したいと思います。

社会課題を解決するために投資銀行を志望するのは、違う

就職活動中の皆さんは社会的問題意識と正義感が強いことが多いです。将来はアフリカの貧困を解決し、アマゾンの森林伐採を食い止め、北極の氷が解けることを防ぎ、小さなジュートのかばん屋さんをミャンマーにつくってマイクロファイナンスで村人を豊かにすることを夢見ています。

そして“問題解決能力をつける”という(やや)無理やりな一言で、コンサル志望を正当化しようとしてしまうのです。

ここでの問題は、コンサルはあくまで金儲けでありファームにとってはビジネスセンスのある人なの?という懸念が持ち上がってしまう点です。

もちろん、出来れば世のため人のためになりたいことを考えているコンサルタントも多いですが、最優先は御客の満足とリピートオーダーであり、地球の持続可能性は後に追いやられるのです。

志望動機は面接時に必ず問われる質問であるため、面接回答の軸となる重要なバックボーンです。しかしここで上記のようなことを口ずさんでしまっている方は、もう一度考え直されることをお勧めします。

その社会問題を解決するのに必要な要素を考えたうえで、キャリア選択をしよう

最近では、ミレニアル世代やZ世代はお金儲けよりも価値観やビジョン、社会貢献感に共感できるかどうかを重視した仕事選びをします。

よってたとえばMBBでもNPOから特別価格でケースを取ったり、エクスターンシップで一年間コンサルタントを好みのNPOに送り込んだりなど、様々なフレキシビリティを提供することで”ソーシャルインパクト志向”のコンサルタントをつなぎとめようとしています。

実際にマッキンゼー在職期間中に日本の地方の病院経営と再編の必要性を実感し、それが後の起業に繋がった人も身近にいます。

ただ中には、いきなり現場に飛び込んで社会問題解決の具体的行動を模索するパターンもあります。それこそバングラデシュなりに飛び込んで、私財をはたいて小さな鞄工場をつくり、それが今では日本を代表するソーシャルインパクト企業として世界各国で店舗を拡大しているケースもあるのです(ちなみにマザーハウスの山口さんの事例です)。

他方、もう一つのソーシャルインパクト企業の代表例、五常&カンパニーの慎さんのケースでは、彼がモルガンスタンレーとユニゾンキャピタルで働いたからこそ、スキルと人脈と信頼と投資家をそろえることが出来ました。

よって結局は、自分が問題意識を抱く問題を解決するためにはどんなリソースが必要で、それを手に入れるにはいきなり飛び込んだ方が速いのか、それともその問題解決への必要要素を得るには、どんな会社のどんなポジションで何を学ぶのが近道なのかという「そもそも論」から、キャリアオプションを考えることが大切になるでしょう。

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