
コンサル、投資銀行などの若手から、よく将来への不安について相談を受けます。キャリア形成をしていく上で、今後、自分の強みを活かして探すべきか、それとも興味・情熱を優先すべきか。ここで重要なのは、御自身にとっての自己実現の定義と、年齢と資金とプランBの有無です。
天職への階段:転職時は自分の強みか興味・情熱、どちらを優先すべきか?
現在、総合系コンサルファームの人事領域のコンサルで働いております。
30代を目前にして、今後のキャリアの方向性について、悩んでおります。
御社は、自分の強み(過去の経験も含む)を活かせる仕事と、自分が興味のある仕事(過去の経験とあまりリンクしない)と、どちらを選ぶのがよいと思われますか。
ご自身のご経験から、未知の領域に挑戦する価値はあるか、過去の経験からのお考えをお伺いしたいです。
生活に困らないなら、自分の興味を追求すべし
得意な仕事と、好きな仕事、どちらを優先するかは、相談者様の人生観および、経済状況によるので、一概には言えません。
生活に困っていなければ、自分が興味のある仕事にトライしましょう。状況が許すなら、好きなことx得意なことx需要があることの掛け算を、この優先順位で見出すのが、自分らしい天職だからです。
人生は一度きりなのに、得意な仕事をして経済的には豊だけれども、これがやりたい仕事でなく、送りたい人生でなかった、という人はたくさんいます。
一番もったいないのは、家が金持ちで特に生活に困る気配もないのに、世間体で羨ましがられる仕事に縛り付けられている人、いわゆる”金の手錠“に縛られている人たちです。
自己実現への道は、本業の転職だけではない
もちろん、別に仕事で自己実現するだけが人生ではありません。仕事は生活のためと割り切って、家族の生活を保障した上で、余暇の趣味や家族との時間で自己実現を図る、というのも、立派な人生です。
また、仕事で自己実現を図るにしても、本業とは別にパラレルキャリアで、好きな副業をしたり、お金はもらわなくてもボランティアで好きな仕事をしたり、と、自己実現の在り方も多様化しています。
しかし、仮にご自身が好きな仕事一つに没頭し、未知だけど挑戦したい、とするならば、その強い想いを大切に、ぜひ挑戦されてください。
プランB、プランCがある間に、「経験はないが好きなこと」に挑戦すべし
こう申しますのも、仮に数年やってダメだったとしても、まだ30前半、MBA留学もあれば、転職もできるからです。まだまだプランB、プランCのオプションが豊富な年齢です。リスクを取れるときに挑戦せずに、人生でいつ、やりたいことに挑戦するのですか?
プランBがなくなる年になる前に、やりたいことに挑戦できることは、とても幸運なことだと考えましょう。
なお、私も数多くのグローバルキャリアを渡り歩いてきましたが、結局充実したハッピーキャリアを歩んでいる人は、早い段階で自分がどうしてもやりたい分野に飛び出した人です。
どうしてもやりたいことだと、他の人より自然と頑張るので業績もあがり、得意になり、成功する可能性が当然高いのです。
しかし念のために申しておきますが、好きなんだけど、まったく得意でない、という場合、柔軟に様々なオプションを考えましょう。
いきなり本業としてすべて投げ出すのではなく、趣味や副業、ボランティアなど、パラレルキャリアの一環としてソフト・スタートされるのも、一案でしょう。
ご相談者様が、強く関心を寄せておられる仕事にどのような形ででも勇気をもって踏み出されること、心より応援しております。