
不動産業界の言わずと知れたナンバーワン企業、三井不動産。プライムロケーションでの大規模都市開発で、都市の価値を高めながら、実は日系企業最高水準の報酬を得ることもできます。不動産好きにはこれ以上ない会社ですが、反面、企業カルチャーが合わずに外資系投資銀行に転職する人も。三井不動産にフィットする人としない人の特徴を、以下に解説いたします。
三井不動産に入るべき人と、三井不動産から転職すべき人のポイントとは?
1.不動産好きにはこれ以上ないナンバーワン企業
財閥系ナンバーワンというと三菱系が思い浮かびますが、不動産業界では三井不動産がダントツのナンバーワン。
六本木のミッドタウンに代表されるような、大規模かつ、都市の魅力を大いに高めるプロジェクトを遂行することができます。
またデベロッパーとことなり、メインビジネスはプライムロケーションの高級オフィスやレジデンシャルのリーシングなので、超安定的な収益が見込めるのも、三井不動産の強みです。
実際に私も三井不動産が開発したオフィスで働き、レジデンスに住んできました。
周辺ビルに比べて3割くらい高いけど、三井不動産のおかげで日本の都市の質が上がっているのを実感するくらい、社会的インパクトの大きな仕事に参画することが可能です。
COVID19の拡散でミッドタウンもリッツカールトンも閑散としていますが、それでも不動産業界最強のバランスシートで、たいていの不況でもびくともしません。
2.安定志向にはたまらない、財閥系の典型的企業文化
財閥系企業特有の、年功序列、解雇無しの長期雇用で、企業の安定性に連動して、その雇用も非常に安定しています。
「人の三井」を標榜するように、採用時は学歴の良いところから人柄がよさそうな人を採用します。よって画一的と批判されつつも、基本的には「良い人」が多いことでも定評があります。
一方で一般職や契約社員との待遇の差は大きく、うがった見方をすれば「社内身分制」で一部の正社員総合職の好待遇が保証されている点も、財閥系大企業の特徴ともいえるでしょう。
3.実は有数の好待遇企業
30で一千万、30後半で1800万、部下のいる役職付きなら2000万を超えるうえ、様々な福利厚生で手厚く遇されます。
クビにならない年功序列なので、2000万近くまで、総合職は安定的に上がっていくのも、三井不動産で勤務する大きなメリットの一つです。
4.ジョブローテーションで幅広く経験し、大規模開発案件にも参画可能
長期雇用を前提としており、人を育てる社風の強さには定評があります。
ジョブローテーションで様々な仕事を経験でき、不動産開発企業ならではの大型案件開発にも、若くして参画するチャンスがあります。
5.スケールは大きいが、自分の役割は細分化
これまで、三井不動産で働くメリットについて論じてきましたが、合っていない人には合っていない企業です。
たとえば確かに開発案件のスケールは大きいものの、組織が大きいため個々の役割は細分化されています。結果的に、自分の裁量で決められる範囲は極めて狭い傾向にあります。
個人の力より組織の力で仕事をしたいタイプには向いていますが、スピード感をもって新しいことに挑戦したい人には、カルチャーフィットが乏しい会社になります。
6.財閥系特有の、長いプロセスと飲み会カルチャー
これは三井不動産に限ったことでなく、終身雇用・年功序列の財閥カルチャーの共通点なのですが、人間関係が濃密で、飲み会が多く、働き方改革で少しはましになったとはいえ、いまだに残業が多いことでも知られています。
コンサルや投資銀行に比べれば労働時間は短いですが、全体的な拘束時間の長さでも知られています。
三井不動産に向いている人、不動産投資ファンドなどに転出したほうが良い人の違いとは?
以上のポイントを鑑みますと、三井不動産でのキャリアが向いている人は、①まず何といっても不動産好きで、②濃密な人間関とわず、③長期安定高給志向の人だと言えるでしょう。もちろん、財閥系特有の学歴重視の学閥があることも、お忘れなく。
逆に三井不動産から転職して外資系投資銀行や不動産投資ファンドでのキャリアを志向する人は、①30代後半で2000万で頭打ちの給与水準に不満であり、②ジョブローテーションや不動産開発というより、不動産を金融商品として組成・運用することにより興味があり、人間関係や年功序列に煩わされず、③若くして個人でプロフェッショナルとして特化する領域が明確な人だといえるでしょう。