
この「企業が学生に求めるものは何か」「何をアピールすれば採用したいと思われるのか」という問いは、弊社がキャリア相談を受け付け始めた20年前から毎年、変わることなく、聞かれ続ける問題です。まず実は、そんなこと考えてる時点で、企業にとっては残念な就活生になってしまっています。また学生同士の能力の差はけっしてちっぽけではなく、非常に大きい上、学生時代に本当に凄かった人は、社会人になっても活躍する確率が高いのも、厳然たる事実なのです。以下では御質問にお答えして最大公約数的に求められる要素を解説します。
コンサルや外資金融に限らず、トップ企業が雇いたい新卒学生3大ファクターとは?
就活生会員(大学三年生)からの御相談
実際に投資銀行/戦略コンサルで働いた経験から、面接の時点で企業が新卒学生に求めるものとは何でしょうか?何をアピールすれば「採用したい」と思われるのでしょうか?
(社会人からしたら学生同士の能力の差なんてちっぽけ過ぎて、考えるにあたらないのではないかと思うので)
チームの雰囲気をよくできる人、やりたいことをわかっている人、ヤバ目のダウンサイドリスクがない人
一緒に働きたいかどうか、信頼感があるかどうかは、どのように決まるのか?
「一緒に働きたいと感じるか」にすべて繋がりますが、その要素は業界や会社、採用担当者によって様々です。
会社によっても人によっても変わるので絶対ルールなどありませんが、最大公約数的に共通項を私見として上げれば、やはり信頼できるかどうかです。その「信頼」も複数の要素があります。
第一に、チームの雰囲気を良くする人でないと困ります。グループディスカッションで賢いけど落とされるひと、面接でスマートなのだけど次に勧めない人は、総じて「その場の空気を悪くする」攻撃的な性質をもっているのです。
面接で賢いけど態度が横柄だったり、グループディスカッションで議論を独占して他人の意見を粉砕したり、面接対策してきたのかいい人ぶるものの、日頃の悪行は隠せずに待合室での態度が偉そうだったりすると、「賢いかもだけど怖いよね、この人」扱いされて、まっとうな企業では次に進めないでしょう。
入社後の評定も、結局は上司に好かれているかどうか、周囲に好かれているかどうかが非常に重要です。もっと言えば、会社やチームの雰囲気を良くする人かどうかが、まず第一に重要なのです。
第二に、「本当にモティベーションの高い人」です。ものすごく賢くて経歴が立派でも、やる気がまったくない人は、仕事でほぼ使い物になりません。それどころか、周囲のやる気も阻害してしまいます。
これに対し、学歴やIQではそれほど光らなくても、その仕事や会社で働くのが憧れで、全力で取り組みたい人というのは、昼夜忘れて嬉々として頑張るので、良いパフォーマンスをしますし、会社もそのお客もハッピーになるものです。
なおモティベーションが思い込みで見せかけの高さにならないよう、業務内容やそのサービスの意味合い、価値、会社が重視して実際に実践している価値観とのフィットをきちんと理解したうえで、志望していることが重要なのはいうまでもありません。
面接だけモティベーションの高い人は、入社後に「本当にモティベーションが高い人」に勝てるわけがありません。だからこそ、企業選択の段階で本当に自分がモティベーション高く働けるかどうかをよくよく自己分析+企業分析する必要があるのです。
第三に、下手なことはしないという安心感(信頼感)です。特にコンサルや金融は全人格的に信頼できる人でないとチームもお客も最後までついてきてこれないので、大成はできません。
金融だとインサイダー取引の一発でキャリアは完全に終わりますし、会社のレピュテーションとビジネスに大きな損害を与えてしまいます。コンサルでも、提案内容がしょぼかったり、デリバリーしたコンサルプロジェクトが不満足な出来だと、会社の看板に泥を塗ることになります。
つまるところ、この人に看板背負わせてお客さんの前に出しても大丈夫という安心感が必要です。
まちがっても、伊勢崎容疑者やエリカさまのように、ある日渋谷のクラブで危険な薬所持して逮捕、、、みたいにならないだろうという、「非常識なことはしない、法令は順守するだろう」という安心感が必要なのは、言うまでもないことでしょう。