
社会の資金を最適配分し、企業の課題にソリューションを提供し、経済の血液循環けん引役を担うべき3大メガ銀行。しかし実際は低金利・手数料低下・IT業界からの異業種参戦に対応できず、凋落の一途をたどっています。問題は若いころは優秀だったはずの社員を、数年で「役に立たないコンサバおじさん」に変えてしまう人事制度。若ければ辞めましょう。若くなくても、これまでのように手厚い企業年金は望めません。よっぽど部署と上司と専門性に奇跡的に恵まれてない限り、銀行は辞めたほうが、貴方と社会のためになります。
三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行から退職すべきヒト・しがみつくべきヒトの分水嶺7大ポイントとは?
1.専門性が身につかない、コントロール不能なキャリアでも、銀行を信じて心中できるかどうか
銀行は3年でローテーションを繰り返しジェネラリスト養成志向という、「数十年同じ銀行で働く」という時代錯誤の前提でキャリア設計がされています。
結果的に専門性がつかず、かつ配属先に希望は聞き入れられないため、やりたいことや向いていることを考える余地がありません。
したがって銀行にとどまるかどうかは、銀行に言われるままのキャリアを歩み続けることに問題意識を感じないかどうかが、決断の大きな分け目となります。
2.配属部署・上司・専門性ある業務内容の3大奇跡に恵まれるかどうか
銀行でのキャリアは基本的に、配属希望が聞き入れられません。しかし配属された部署・支店、また上司によって、その後の出世が大きく左右されます。
また上司によっては年功序列を反映し、パワハラ気味の人も多く、その下で働き気を病む人も。
当然業務内容も選ぶことができないため、よほど奇跡的にこの3条件が自分に向いていた時以外、銀行でのキャリア満足度は、非常に低いものとなります。
3.斜陽産業、凋落に歯止めがかけられないが、歯止めをかける部署に入れるかどうか
低金利・手数料低下・IT産業からの新規参入の波に、抗えていません。
フィンテック投資やIT企業との協業で、どうとなる問題でもないわけですが、一部にはこれら新規分野のポジションもあり、それらを経験できるかどうかで、その後の社外での市場価値が大きく変わってきます。
フィンテック企業やIT企業との協業でも銀行は彼らから学ぼうとしますが、そもそも人材やカルチャー、ビジネスモデルが違うため、結局はアクセラレーターなどのイベントに参加して、それを見ているだけのおじさんになることが多いです。
そもそもその新規分野のトップタレントは、銀行に来ません。皮肉なことに、自分を追い詰める新興ライバルに資金を供給し、お客さんでいる間に益々競争力を失っていくのです。
4.顧客の課題を解決できない、横並び営業に耐えられるかどうか
キャッシュ残高が史上最高の日本企業、低金利じゃぶじゃぶ政策が続く中、銀行が伝統的に扱う顧客は、資金調達に困っていません(コロナショックによる一時的な需要はありますが)。また現在の企業の課題は多岐にわたっており、融資や金融ソリューションで解決できる問題は極めて少なくなっています。
本来、企業の参謀役になりたいと、採用CMや採用支援を行う企業に騙され銀行に入ったはいいものの、入って数年で「結局は客が欲しくないのに頭下げて、無理矢理借りてもらう実態」に嫌気がさし、コンサルなどに転職志望する人が非常に多くなっています。
この時、20代前半、中盤ですと「ついうっかり今更銀行に入ってしまった」という傷も浅いですが、30に突入するまで銀行だけでキャリアを過ごしてしまうと、他業界で市場価値を高めてきた同年代に対し、大きなハンディキャップをレジュメに背負うはめになりかねないでしょう。
5.正確さとマニュアルに厳しい、減点評価に耐えられるかどうか
銀行はその業務上、性格さや完全はプロセス踏襲、前例踏襲が重んじられます。
よって業務内容の多くは面白くない割にプレッシャーが多く、ミスすると激怒される減点評価制度です。よって、この評価制度自体が自分の価値観や正確にフィットしていない人は、非常に不幸なキャリアを過ごすことになります。
逆にこの評価基準で高評価を受ける人は、総じてアントレプレナーシップが低い、こと無かれ主義の「官僚的な退屈人材」になりがちです。
6. 「銀行しがみつきモデル」を選ぶ際の成否は、年齢次第?
最後に、銀行キャリアの成否は、ご自身が仕事に何を求めるかと同時に、「大企業しがみつきモデル」で切り抜けられる年齢かどうかが問われます。
たとえば40代中盤であれば、あと数年しがみついてまだ分厚い企業年金資格を手に入れ、50になって給料が下がるタイミングで、お金の心配なく、好きな仕事に転職することもありでしょう。
しかしまだ30前半であれば、昇進のタイミングが遅れ、昇給幅が小さくなり、年金も下げられてリストラリスクも高まる今、市場価値が高まらない仕事で1000万円もらうキャリアが、いかに将来的に危険なものであるか、火を見るよりも明らかとなります。
以上、社会の資金の大半を集めておきながら、それを成長分野に適切に分配する資産配分やそれを可能にする人材採用・人事制度構築に失敗したメガバンクに努める「メガトン級のリスク」に関し、ご参考いただければ幸いです。