プライベートエクイティ転職後に重要な、割安案件の発掘に必要な3大要素とは?

  • LINEで送る

プライベートエクイティファンド転職後の投資業務に於いて、割安なエントリー(投資実行)は、定石の中の定石です。そのためには公知でない売却ニーズ・資金ニーズを発掘し、自力で提案をセラー側の意思決定者に届け、案件化を実現する必要があります。しかしその中には大きな典型的落とし穴も。PE転職後の自分の仕事をイメージするために重要な3大ポイントを、日本を代表する大手プライベートエクイティファンド現役プロフェッショナルである、Strong Career講師が解説します。

割安な投資こそが、案件リターンの守護神

プライベートエクイティ投資業務に於いて、割安なエントリー(投資実行)は、定石の中の定石です。

リターンを決める様々な要因の中で、エントリー価格(ヴァリュエーション)は、数少ない確定的な要素なのです。将来、少々の危機が訪れても、運転資金さえ詰まらなければ、割安なエントリーは、確定要素として、守護神の如く、いつも案件リターンを救ってくれるのです。

バリュエーションを低くするには、プロプライエタリ―案件

割安なエントリーを実現する王道は、プロプライエタリー案件です。

それは、公知ではない売却・資金ニーズを発掘し、自力で提案を意思決定者に届け、案件化を図ることであり、非常に価値の高い活動となります。

特に、同ニーズが一部の人物にしか知られていない、または、意思決定者が気付いていない/決められない等の場合は、優良企業の貴重な案件である場合が多いのです。

良い事業承継案件やスピンアウト案件の多くが該当します。

①誠実に、長期的信頼関係を醸成することが重要

しかし、様々な工夫や努力をしないと、意思決定者まで提案が辿り着きません。

せっかくの提案も、意思決定者に辿り着かないと、ただの妄想か、お絵かきで終わってしまいます。

提案の機会を得るために助けてもらう存在は、一般的には大手証券会社やブティック系アドバイザ、対象会社取引銀行、再生系コンサル会社です。

小さめの案件の場合は、更に、顧問税理士や友人(先輩/後輩)経由が加わります。

こうした存在とは、中長期的な観点で、信頼関係を強めることが重要です。

具体的には、実際の案件の相談を通じて、お互いに小さなことでも真摯に対応し、お互いを使える人物であると認め合うことが重要と考えます。

②株主が急いで売りたがっている案件は要注意

会食を重ねるだけでは何もやっていないに等しく、飲むこと以外の継続的な努力が必要です。

こうして色々な努力や工夫を続けていると、たまに、コールドコールでも、経営企画やIR担当者を経由して、意思決定者に早い段階で辿り着く事ができます。

しかし、喜んではいけません。そういう会社は業況が悪い場合が多いのです。

つまり、急いでお金を必要としている、また、急いで株を売りたがっている訳であり、投資のチャンス!と思う前に、十分に警戒し、その背景を理解する必要があります。

冷静になって案件としての魅力を評価し、ダメな場合でも貴重なチャンスだからと固執せず、また、めげずに新しい先に目を向ける事が重要です。

③継続的に繰り返し、提案機会の発掘を続ける

投資の実行は、恋愛の様なもので、縁の世界だと思います。
努力を積み重ねることは必要ですが、その分量だけの見返りが期待できる訳ではありません。
継続的努力だけでは意思決定者への提案は実現しないのです。

しかし、プライベートエクイティファンドとしての様々な投資候補に対して、継続的に繰り返し提案機会の獲得の発掘を続けない限り、縁にも恵まれないということだと思います。

良縁は、努力家の下に、ある時突然やってくるのです。
継続的な努力をしつつ、工夫と努力の質を上げる創造性を失わず、常に前向でありながら、常に冷静であること、これが重要だと考えます。