PEファンドからの、他のPEファンドへ転職する理由5大パターンとは?

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プライベートエクイティファンドから、他のプライベートエクイティファンドに転職する人は、どのような理由で転職するのでしょうか。チームの長期的な安定性を重視するPE業界では、投資銀行と異なり競合他社から引き抜くということをあまりしません。これは、競合他社も時に共同投資や、セカンダリー案件で緊密に連携する必要があることも少なくないからでしょう。それでも、PEファームは小規模所帯が多くパートナー次第でカルチャーが大きく変わるため、自分にフィットしたファーム選定が非常に重要になります。

プライベートエクイティファンドもピンキリ~さらに自分にあったファンドへ転職するために重要なこととは?

プライベートエクイティファンドも数が増え、戦略やサイズ、成長性や文化が大きく変ってきています。

Strong Careerにはアドバンテッジパートナーズやインテグラル、ユニゾンやCLSA、CVCやMBK、ベアリングズからベインキャピタルなど、数多くのファンドでその会員や講師陣が働いています。

その中には、複数のファンドを渡り歩く方や、海外ファンドに挑戦する人もいます。

当サイトにはとくにマッキンゼーからプライベートエクイティファンド志望の方から問い合わせがよく寄せられますが、PEファンドを渡り歩く人のPEファンド間転職志望動機から、自分にあったファンドの選び方のヒントを論じてみましょう。

1.どのポジションで入れるかによって、成長性が異なる

ちょうど今日、某国のKKRの若手アソシエイトで他ファンドに転職を考えている元同僚と食事をしていました。

彼はPE業界のある意味頂点ともいえるファンドに働き、20代にして40万ドルほどの給与を得ながら、他の小さなファンドに転職活動中なのです。

その理由を聞くと、大きな所帯でシニアアソシエイトといったポジションでデューディリジェンスやエクセキューションの駒としての作業をあと数年も続けたくない、小さなファンドでディールソーシングを早く責任もって行い、より早く高みを目指したいというのです。

彼はPEファンドで目先のお金を稼ぐことより、ディールメークの経験を通じて学習することを目的として大手ファンドから小規模ファンドに転職を目指すという、珍しいケースともいえるでしょう。

2.どの市場・国で展開するPEファンドかによって、キャリアが大きく変る

よくあるファンド間転職の理由が、活動市場を変えたいというもの

これは、これまでいわゆる先進国だけど低成長の国でバイアウト投資をしてきた人が、市場がSaturationを起こして競争も激しいので、今後伸びる東南アジアのグロースファンドなどに転職を試みるパターンです。

実は日系ファンドの中にもLP投資家の反対を押し切って、商社や政府系金融機関から300億程度集めて東南アジアのマイノリティ投資ファンドを運用しているファンドもあり(といっても一社しかないので詳しい人が読めば一発でわかるのですが)、日々東南アジア各国を飛び回って楽しくやっている人がいます。

同じPEファンドに入るにしても、PE市場自体が拡大する市場に入って長期的キャリアを築こうというパターンです。

3.どんなストラテジーのPEファンドに入るかによって、仕事内容が変わる

PEファンドといってもスタイルが大きく異なります。

ゴールドマンサックスなど投資銀行出身者が多いファンドはディールメイクに注力し、オペレーションのバリューアップは経営者を外部から雇って任せることが大半です。この場合、別に会社に入り込んでガリごり働くわけではないので、基本的に日常生活は比較的暇になります。

これに対し、ベインやマッキンゼーといったコンサル出身者主体のファンドでは、コンサル時代の労働特性から、投資先に入り込んでバリューアップに勤しむため(投資先の名刺をもって中で働いたりもする)、日頃から投資先の経営に携わりながら、他の案件のディールソーシングもするので大変忙しくなります。

また中には、一人で二社の案件に入るハードコアなPEファンドもありますが、成長志向の強い人にとっては、そのような忙しいPEファームに転職するのが正解になるでしょう。

(ただし、成長の方向性を見誤ってはいけません。1であげた彼は、投資先の経営に興味はなくディールメーキングに特化したいタイプなので、前者のタイプのPEファンドが合っていることになります。)

4.どんな段階のPEファンドに入るかによって、キャリーが変わる

これはPEファンドでディレクター以上になってキャリーをもらう身分になった人しか分からないありがたさなのですが、このキャリーの%で、長期的なPEファンドからの収入が桁が変わってくるのです。

このキャリーは、貰えるのが5年後や下手したら10年後なので、目の前の数千万円が欲しい人はないがしろにしがちなのです。

しかし長期的な数億円、下手したら二桁億円を重視する人にとっては、PEファンドからの報酬パッケージの中で、最も需要なコンポネントになります。

大手の名門ファンドに入るとファンドサイズも大きいですがチームサイズも大きいため、若手に入ってくるキャリーはほとんどないことが多いです。

また小規模PEファンドに入っても、ファンドサイズが小さすぎたり、投資案件がハードルレートを超えなかった場合、当然のことながらキャリー%が大きくても、まったくキャリーが入ってこないケースもあります。

総じて、他のPEファンドで実績を証明した優秀なファンドマネジャーが独立したファンドに早期に引き抜かれるのが、若くしてキャリーを大きく手に入れる定石ともいえるでしょう。

5.どんなパートナーのPEファンドに入るかによって、勝ち負けが変わる

これが重要なのですが、PEファンドによってはキャリーは出るものの、大半をほぼ働いていない、LP投資家向けの定例会に出てきて立派な挨拶し、日頃はどう見ても働いていないパートナーが大半を持っていく事態が要注意です。

つまるところファンド自体が儲かっても、自分にはまったく入ってこない、といったケースも見受けられます。

大抵このようなケースでは、出来る若手や中堅が他社に転職したり、退職したりするので空中分解するPEファンドもあるのですが、逆にキャリーはいらなくて数千万のベースとボーナスだけで十分、というサラリーマンタイプの社員が残りがちになります。

以上、PEファンド間での転職や、PEファンドを選ぶときの5ポイントについて論じました。数あるPEファンドへの転職を考えられる際の、参考にしていただければ幸いです。

(MBBないしゴールドマン、モルガンスタンレー在職者・出身者(社内で順調に昇進した方)の、PEファンドへの転職相談は会員登録後、こちらまでご連絡ください。)