LP投資家はプライベートエクイティファンドに投資する時、何を重視するのか?

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プライベートエクイティファンドに転職する時は、LP投資家に長期的に選ばれるPEファンドに入ることが重要です。LP投資家からの支持無くして、ファンドの存続と成長はありえないからです。そんななか、LP投資家がPEファンドに何を求めているのかを知ることは、日々のPE業務に埋没せず高い視点を持つことのみならず、PEファームへの面接対策としても非常に重要です。以下ではPE転職対策テキストから一部を抜粋し、LP投資家の視点を面接対策に繋げます。

数ある日本のプライベートエクイティファンドの中から志望するPEファンドを選ぶとき、何といっても重要なのはそのファンドの存続性と成長性です。

以下ではLP投資家が投資先のPEファンドを選ぶ際の視点で、PEファームへの面接時に知っておいたほうが良いポイントを、PE転職対策テキストの”LP投資家とPEファンドパートナーのデューディリジェンス質疑応答100パターン”の中から抜粋して紹介いたします。

1. なぜ日本のプライベートエクイティファンドから、このファンドを選んだのか説明する必要がある

LP投資家、中でも海外からのLP投資家は、日本のプライベートエクイティファンドに投資するためには、無数の”社内で説明しなければならないこと”をクリアしなければなりません。

まずそもそもなぜ低成長の日本に投資するのか、また日本に投資するとして、なぜ公開株ではなくプライベートエクイティなのか。

またプライベートエクイティに投資するとして、なぜベンチャーキャピタルやディストレスド、インフラや不動産でなく、バイアウトファンドに投資するのか。

そしてようやく、バイアウトファンドに投資するにしてもなぜ、30社の候補(最近では数はもっと増えていますが)の中から、このファンドを選んだのか。

翻ってPEファームとしては、貴方を雇うことで数いるライバルに比べ少しでも優位に立てるというイメージを持てなければなりませんし、LP投資家に説明するとき、「うちのファンドの社員は業界最高水準だ」と説明できる材料が必要になります。

だからこそ”視点がワンランク高いPEプロフェッショナル”は常日頃から、「面白く魅力的なストーリーでLP投資家に覚えてもらえるような優良案件」を創造・発掘していく必要があるのです。

2. 投資先のPEファンドが10年後、同じヴィンテージのファンドに比べ、Top Quartileに入る蓋然性が高い

プライベートエクイティファンドへの投資は、息が長い投資です。その投資判断が正しかったかどうかは、ファンド運用期間が終わった10年後等にようやく確定するからです。

もっとも最初の数年で、どのような魅力的なアセットを獲得できたか(つまり魅力的な優良案件に投資できたか)が分かってしまうのですが、ここでは”同じ年に設立された他社のファンドに比べ、リターンの蓋然性(つまりアセットの質)がTop Quartile(上位25%)に入っていることが非常に重要になります。

PE業界は、このTop Quartileに入るファンドにほぼ全ての資金が集中(トラックレコードに依拠した横並び投資が非常に多い)します。

よって貴方が入社するPEファンドを選ぶ際も、”他のPEファンドによる投資先に比べ、投資先ポートフォリオ企業の質がTop Quartileに入る蓋然性”があるかどうかを、見極める必要があるのです。

3. LP投資家にとっての戦略的要件を満たしている(往々にして共同投資)

ここが普通のPEサラリーマンと、起業家精神溢れるPEプロフェッショナルの分水嶺なのですが、一流のPEプロフェッショナルにとって重要なのはあらゆるビジネスと同様、”提供サービス(この場合はファンドのリターン)”を通じて生じたリレーションシップを元に、その顧客の”困りごと”を幅広く解決していく主体性及び戦略性です。

実際のところプライベートエクイティのLP投資家は単にファンドリターンのみならず、様々な戦略的ニーズを抱えています。

特にファンド投資だけだと差別化しづらい今日この頃(どこのLP投資家も、同じようなPEファンドに入れる為)、LP投資家にとって”ありがたい事”は、共同投資を持ってきたり(本コラム冒頭の写真・PE転職対策テキストより抜粋)、LP投資家が日本の様々な企業や投資家と連携するのをサポートしたりと、LP投資家ごとに多岐にわたります。

そんななか、PE業界への転職を志望される際は、単に投資先のリターンをグロスで3倍、25%のIRRを実現しますという空虚な一般論を語っている場合ではありません。

これに対し”私はLP投資家の、共同投資の重要性をはじめとした戦略的ニーズをしっかり理解しており、そのニーズに応えた「説明しやすい投資案件」の作りこみ”をできる旨のアピール迄できれば、面接官もビックリすることでしょう。

PEのビジネスの顧客はLPであることを理解し、LP投資家の潜在ニーズを掘り起こし、それを満たすような案件を作りこむ主体性を有する貴方は、数いるマッキンゼー、ゴールドマンからのPE転職志望者に対し、目線が一段高く、一歩先んじることができることでしょう。

(そこまでわかっている人はPEファームへの面接時はおろか、若手アソシエイト、ディレクターの中でもほぼいないため、ここでの深い理解が大きな差に繋がるのです。)