
他方で、時代の変化についていけず、同じことばかりやり続けている割に優秀な人材から外部に流出してしまい、流出した人々が組成したファンドの方が気づけば大きくなっていることが目立つファンドも存在します。
業界自体は一昔前に比べ格段に大きくなっているのに、「昔一流、今微妙」の下り坂コースをたどっているファンドの特徴とは、どのようなものなのでしょうか?
下り坂のプライベートエクイティファンドの特徴とは?
ファンドが下り坂になるとき、以下のような兆候が表れます。まず、過去の成功案件を手掛けた優秀な人材が辞めていきます。元xxという人が各業界で活躍しているなどと日経新聞に載ることがありますが、よく見るとそのファンド出身者がやたらと多かったりもします。
次に、単に長らく会社にいるだけの、特に成果を上げたわけでもない人がパートナーに上がっていきます。
すると上が閊えてのPEファームの評判も落ちてくるため、補充するために雇う人材のスペックや能力が落ちていきます。
しかも、自分達より小さかったはずの新興・後発ファンドが自分達よりも大きくなっていくと、彼らの方が給料を支払えるので、優秀な人材を奪われるようになります。
こうなってくると、トップティアではない人材が、トップティアではない給料を貰いながら、昔は辞める人が全然いなかったファンドだったのに、いつのまにか離職率・回転率が業界最高水準にまで急上昇してしまい、しかも辞める人がその会社の悪口を言うようになります。
かくしてファンドサイズ・チームのクオリティ・満足度・報酬水準・ファームへの忠誠度の全てで競争力がじり貧になっていき、最後は「働かないオジサン×インターナル作業ばかりしている若手社員×経費をカットするように言うと、仕事が増えると激怒するお局秘書さん」だけが残ります。
そして投資家ベースもかつてのグローバル機関投資家ではなく国内のゆるめのお金ばかり預かる、セカンドティアファームへの転落ロードを辿ることになってしまうのです。
いつまでも業績もバリュエーションも上がらず、売れ残り続ける投資先企業が最悪のパターン
なお極めつけは、「業績もバリュエーションも上がらないが、売れもせずにいつまでも存在する売れ残りポートフォリオ企業」に苦しめられるようになります。
この手のファンドは良いディールソーシングにも苦労するか、後先考えずにファンドを消化するために「辞めといたほうがいい案件」に投資したりするので、結果的にいつまでもファンドの中に、にっちもさっちもいかずに売れなくなったポートフォリオカンパニーが残り続けることになるのです。
するとファンドを解消することが出来ないので、10年で終わるはずのファンドが11年、12年、下手したら更に延々と伸びることになり、チームリソースを激しく消耗させるわりに、バリュエーションはいつまでも上がらず、買い手も現れないという、デッドロック状態になってしまっているファンドもちらほら見受けられます。
このような状況になっているファンドに、くれぐれも気を付けましょう。