
プライベートエクイティファームでの面接では、各ファームとのカルチャーフィットや、バリューアップアプローチのフィットが重視されます。バリューアップというと大抵、「経営陣を変える」「マーケティングを変える」「プロダクトラインを合理化する」「海外進出をサポートする」などと説明されていることが多いですよね?しかし大切なのは、その実態と神髄を知りながら議論することです。業務内容に関しても、「LBOモデルを作る」「ドキュメンテーションをする」「レンダーと交渉する」等では、何も語っていないに等しいのです。
PEファームへの面接で聞かれる、「どんなバリューアップをしたいのか?」という質問には、どのように答えるのがよいのでしょう?
そのためには、各PEファーム、少なくともご自身がアプライしているPEファームが、そのLP投資家に対して「自社の差別化ポイント」をどのように説明しているかを理解しておくことが望ましいです。
日本のPEファームも随分と増えました。その中から、LP投資家は大抵1-2社を選びます。なにせ互いに競合しているのですから、国策としてPE業界を育成するために投資している某政府系の大手LPでもない限り、一番リターンを上げそうなところを選ぶのが、投資家の腕の見せ所となるわけです。
しかしPE投資は向こう10年間きちんと運用し、向こう5年間の投資機関の間に、他のファンドではアクセスできないようなディールを引っ張ってきて、他のファンドよりも効果的にEBITDAを伸ばすか、戦略的価値を高めるストーリーを語る必要があります。
実際は、LP投資家に語っているようなストーリー道理のディールソーシングやバリューアップにならないこともあり、アドホックにオポティュニスティックな投資を繰り返し、一貫した投資戦略を説明するのが不可能はファンドもチラホラ見受けられます。
ですが、LP投資家に自社の戦略の一貫性を説明するためにも、LP投資家向けに説明している「自社の特徴」に整合した投資案件が、ファンドレイズの重責を担うパートナーレベルにとってはありがたいのです。
志望先のPEファームは、LP投資家に自社の特徴をどう説明しているのか?
この「LPに説明する投資戦略の特徴」ですが、これも長々ダラダラと説明しても、一人で何百社ものファンドマネジャーとあっているLP投資家は覚えてくれません。
せいぜい、3~5ポイントくらいで特徴的な話をしなければならないのですが、いかんせん抽象化すると「ガバナンスメカニズムを構築する」「経営者を正しく選定する」「店舗を統廃合して、出店を合理化する」等に集約されがちです。
だからこそ勝負は、その抽象的なポイントを具体化して説明する、過去の案件でやったことの説明になるわけですが、そこで語る具体的なストーリーに、きちんとエグジットで実現したリターンの数字が加わって初めて、説得力を持つことになります。(ストーリーだけ面白く、過去のリターンの数字がショボいときは、当然見向きもされません。)
従って「御社の投資戦略・バリューアップ戦略の特徴は何ですか?」などと聞くときも、成功した過去の案件で具体的にどのようなことをした、今後もその成功パターンを繰り返していく、とLP投資家に説明しているのか、レベルで理解することで、どのようなポイントに御自身の具体的なストーリーを結び付けて話せば相手に響くのかが、変わってくるのです。
要点を纏めましょう。LP投資家は、GPが今後、どのような投資をしていくのかを社内や、そのステークホルダーに説明する必要があります。よって、その説明がしやすいような投資やバリューアップを実現してくれそうな社員を、GPとしては雇いたいのです。