
ゴールドマン・サックスに新卒や転職で面接するとき、「何故他社ではなく、ゴールドマンを志望するのか」とほぼ必ず聞かれます。そんな時、どう答えますか?要するに経営幹部の質、業界でのリーダーシップ(動きが早い)、チームワークカルチャーなどのポイントを挙げる人が多いのですが、肝心なのはその一つ一つの中身を理解したうえで語ることです。日系証券以上にローカル化に成功したとも言われる、ゴールドマンサックスの特徴4ポイントを解説します。
「何故ゴールドマンサックスを志望」4大特徴とは?新卒・転職面接対策の基本!
投資銀行各社の何が違うか‐何故ゴールドマン?といった質問をよく聞かれますが、面接対策に関連付けて、ここでゴールドマンサックスの他行と比較した特徴を書かせていただきます。色々ありますが、一言でいえば結局、”他社が皆、ゴールドマンの悪口を言っているから”ということが端的に物語っていると言えるでしょう。以下で4つの特徴を論じます。
まず第一に、流石は最強の投資銀行とされるだけあって、”最後にこの業界において一番優秀な人が、グローバルの幹部クラスには集まる”というのがあります。
ジュニア、中間管理職クラスでは、他のトップティアバンクと大して変わりませんし、実際、行き来も激しいです。
それでも総じて、激務であろうと「業界ナンバーワン」「世界的ブランド」という自尊心が強く、そこに満足感を感じて頑張れる人が多いのも一つの特徴といえるでしょう。
言い換えれば、仕事内容は別にどうしてもやりたいことではなくても、その名声と社員のプライド、コミットメントの高さをモティベーションの源泉に出来る人は、ゴールドマンサックスに向いている可能性が一段階高まります。
正直、単に綺麗なだけで接待要因(社内外)にしか見えない若い女性がいるのはゴールドマンに限らず投資銀行各社の悪しき風習ですが、それでも幹部のクオリティは他社と一線を画してきました。
最近ではブロックチェーンの分野でJPモルガンがリードし、またモルガンスタンレーのCEOもウォールストリートで存在感を増していますが、それでもトップの経営陣は政財界での人脈が群を抜いています。出身者が各界で活躍していることが多いのも、コンサル業界のマッキンゼーに共通する、トップファームの証と言えるでしょう。
金融業界でのリーダーシップ~ゴールドマンサックスは、何かと動きが早い
第二に、その先見性、言い換えれば金融業界でのリーダーシップです。実際にゴールドマンサックスは他の投資淫行に比べ、動きが戦略的で早いと感じさせるのは確かです。
一昔前の金融危機の例ではサブプライムの時に逆張りで唯一稼いでいたのも挙げられますが(ちなみに解雇も一番早かった部類)、日本の事例だと不動産投資銀行やマーチャントバンク、不良債権ビジネスやプライベートエクイティも常に先駆的存在感を示していました。
また少し前は、太陽光などの金融商品をキャピタルマーケットで大いにはめることに成功しました。そしてこれらのビジネスから手を引くタイミングも見事なものです。
遅れて入ってきたメリル(現BOA)などがプライベートエクイティを始めたころにはすでに市場サイクルは終わっていて、数年でチームがなくなってしまったのです。
私が案件を共にしたゴールドマンサックスのチームはリスクの取り方がしっかりしているし、ディールの中身を見てみると、やはりストラクチュアリングのところの工夫で上手く儲かるように出来ています。
記憶に新しい、あの大儲け案件・USJはあのサイズのディールとしては日本で最大級のリターンを上げることに成功しました(実に10倍水準。AVCJなどを参考にすると8倍程度だと思っていたのですが、内部の人が10倍をゆうに超えているというので、入った時の値段がほかの共同投資家とは異なるのかもしれません。)
また投資銀行への規制が増え、同業他社が苦しむ中、ゴールドマンはフィンテック分野での投資で大きな存在感を示しています。
ゴールドマン社内での信頼関係が、転職後も大きなビジネスのネットワークに
第三に、アルムナイネットワークの強さです。ポールソンやルービンをはじめ歴代経営陣がホワイトハウスに深く突き刺さってきたのは周知の通りですが、そこまでいかなくても大手バイアウトファンドの創設者など、ゴールドマン出身者によるビジネスネットワークは強固なものがあります。
実際、多くのプライベートエクイティファンドがゴールドマンサックス出身者によって設立されており、不思議とBOA出身やドイチェ、UBS出身により設立された、といったプライベートエクイティファンドは、グローバルにもゴールドマン出身ファンドに比べ著しく少なく、日本ではほぼありません。
これは、各投資銀行の業務内容に大きな差がないことを考えれば、驚くべきギャップです。
コンサルの中ではマッキンゼー出身者がそうですが、投資銀行他社に比べ、独立志向、アントレプレナーシップが強い人が、比較的多いのかもしれません(特にIBDかPIA)。
めでたく入社されましたら、将来様々な分野で成功する人が多いことを意識して、多少人的には腹立たしい傲慢な相手であっても若いうちは可愛げを振りまいて敵を作らないことが、将来のキャリアを助ける人脈形成に資することでしょう。
日本支社でも、有力パートナーに出資して貰って独立する人が結構存在
日本支社においても、退職後の人脈を活用してビジネスを成功させている人がたくさんいます。
実際、最近の起業ブームにのってゴールドマンサックス出身の20代、30代が数多く起業しています。
その際、マネージングディレクターにシードマネーを出してもらったり(特に有名なのがKさん)、ゴールドマンの同窓生の中でディールを回したり、お互い投資案件を紹介しあったりと、在職中に良好な人間関係を築いた人は、マッキンゼーなどと同様、退職後にその人脈のメリットにあずかることになります。
(*もちろん、これは面接で”なぜゴールドマンサックスを志望していますか”と聞かれたときに応えるようなポイントではありませんが。。)
ゴールドマンサックスのカルチャー:信頼とチームワークが重要~「GS的チームワークの特徴」を調べていこう
なお4つ目にあげていますが、ゴールドマン的には最も重視している(少なくとも、していることになっている)特徴が、そのチームワークカルチャーです。ゴールドマンサックスは、カルチャー的にはやたらとチームワークを強調してきます。面接でも明示的に“チームワークの経験について”や、“人と揉めたときの対処法”等について聞いてくるのです。
正直に申し上げまして、チームワーク到底出来てないだろこの人、という攻撃的で傲慢な人も実際多いのですが、とにかく建前上は“チームワークカルチャー”にフィットするようなお話が特に好まれるのも、ゴールドマンサックスの特徴です。
なお、古き良き時代のゴールドマンで長らく働いた人は、「あの頃は真のチームワークカルチャーだった」と述べ、その後のプロフェッショナル生活の礎を築いてくれた、と感謝している人が意外と多いのです。
ここで重要なのは、”ゴールドマンサックスのチームワークカルチャーとは具体的に何を指すのか”を、ゴールドマンのOB訪問や面接や会社説明会やネット(日本語コンテンツは限られているので、英語の方が断然本質的な情報を探せる)検索で理解を深めておくことです。
要するに個人よりもチームの利益と目的を優先する、というアメリカの集団スポーツの掟みたいな話ではあるのですが、会社としてカルチャーをこのチームワークカルチャーを重視しているだけに、「このカルチャーとフィットしている」と思ってもらうことは、面接で残すべき大切な印象の一つとなるのです。
他社が意識して”悪口”を言うのは、結局ゴールドマン
まだまだ特徴を挙げると切りがないのですが、最後に一つ付け加えるならば結局のところ、“皆から悪口を一番いわれる投資銀行だ”ということが、その業界のポジショニングを明確に表しているのだと思います。
皆さんが面接で各社を受ける時、“なぜゴールドマンでなくてウチなの?”とよく聞かれるものです。他社から競合相手の悪口を聞く時も、一番話題になるのはこの会社。
以前ゴールドマンへの志望動機を聞いたとき、一言で“ライバル各社が常に御社の悪口をいっているからです”と答えている人がいましたが、これは言いえて妙な一言だと思います。
結局のところ、業界各社が一番意識しているトップバンクなのですから。
PS ちなみに元ゴールドマンサックスで長らく活躍された服部さんが、ゴールドマンサックスM&A戦記という本を出されているのですが、非常に面白く業界の参考になる本ですので、ご関心お持ちの方は是非どうぞ。