知ってるつもり!?コンサルファームは何故上場しないのか~3大理由

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純粋な戦略系コンサルティングファームはところで、なぜ上場しないのでしょうか。端的に言えば、”お金がいらないビジネスなので、お金を受け取って口を出されたくない”というのが答えでしょう。また機密性が高いのに、有報や四半期報告書でパブリックに公開するわけにもいきません。またプライベートエクイティファームと同じで、利益をパートナーで分けるからこそ、パートナーの旨味があるのです。詳細を、Strong Career講師で大手戦略ファーム出身者が回答します。

なぜコンサルティングファームは、上場しないのか?

マッキンゼー、ベインアンドカンパニー、ボストンコンサルティンググループなど、グローバルで何千、何万のコンサルタントを雇う戦略ファームも、上場はしていません。経営は一部のパートナーで持ち合う、パートナーシップ制です。

あまり真面目に考えたことのないトピックかと思いますが、これはなぜだと思われますか?

たとえば外資系金融機関も長らくパートナーシップ制で運営されてきました。ゴールドマンサックスが最たる例ですが、カルチャーが損なわれるのでは、という論争の末、結局上場しました。

また投資会社はどうでしょう。プライベートエクイティファームが公開株として上場するのは、コンフリクトがあるとしてこれも投資家の批判にさらされました。

コンフリクトというのは、プライベートエクイティへの投資家は、10年後のリターンを最大化してほしいわけですが、公開株の投資家は毎年の短期のリターンが重要な人たちだからです。

それでも結局、KKRもブラックストーンも上場し、結果的には大成功しました。

ではなぜ、BCGやマッキンゼーなどは、上場しないのでしょうか?

戦略コンサルファームは、基本的に資金調達が不要

まず、そもそも戦略コンサルは資本が不要でキャッシュが廻るビジネスなため、資金調達が向いていません。

売り上げがあがれば人も雇えて利益も増えますが、売り上げが増えないのに巨額の資本を調達して資金が入ってきても、広告費を投下したからと言って仕事が来るビジネスでもないのです。

マッキンゼーにしてもBCGにしてもベインにしても、広告みたことないですよね?イベントのスポンサーなどはしても、大規模な広告はそぐわないです。なにせ、顧客にしても採用にしても、一部の特殊なマーケットですから。

これは、上場のもう一つの役割である、”社会的認知度向上によるメリット”が、コンサルファームにはあまり当てはまらないことも意味します。一般に認知度が高いことより、法人の意思決定者に信頼されていることの方がよっぽど大切なのです。

ともあれ一言で言って、コンサルは別に資金調達が必要でないため、”その上場で調達した資金で何に投資するの?”と言われても、結構困る業界なのです。

戦略コンサルファームで上場したところは、大抵失敗

次に、戦略ファームで上場したところは、大抵失敗しているのです。中堅的な戦略ファームで、上場されている大きなシステム系のコンサルに買収されて、上手くいかずに結局再度独立したケースが複数あります。

たとえばコンサルティングは市況が悪化した時、無理やりプロジェクトを売りつけて一時的な売り上げを上げても、顧客満足度と成果が無ければ次に繋がりません。

毎四半期ごとに売り上げ、利益成長が求められる株式市場の期待とフィットの高い業界でないのは明らかでしょう。買収を仕掛けた親会社とのカルチャーの違いを埋められずに、再度独立したケースも複数あります。

他にも、守秘義務で開示できないことも多く、どこがクライアントなのかも言ってはいけない(若手のコンサルタントは誇らしげにどこのプロジェクトに入っているか、口軽くいってしまう人が多いですが)業界であるため、上場企業に求められる情報開示に向いていないことも挙げられます。

また、これはコンサルに限ったことではありませんが、上場すると面倒なことが増えます。投資家対応に経営陣の貴重な時間の多くが使われますし、開示しなければならない情報も増えます。上場を維持するコストも結構なものなのです。

一言で言って、上場で得られるメリットより、上場に伴うデメリットの方が多い業界なのかもしれません。

パートナーシップに満足している

最後にもう一つ言えることは、株式の持ち主であるパートナーが、パートナーシップに満足していて、株式を”働いていない第三者”に持たれることを嫌うことも挙げられます。また資金調達して面倒くさい投資家と規制対応しながら、外部の株主にいろいろ言われるより、現状のパートナーシップの方が都合がよいのです。

このコラムを書いていた時、丁度某トップティアファームのシドニーオフィスで働くパートナーと会食する機会がありこの話題を振ったところ、”他人に売るにはもったいない、あまりにもいいビジネス。愚かな株主に戦略やら見通しやら云云説明する時間が馬鹿らしい”という答えが返ってきました。決してこれが代表的な回答とは言いませんが、”儲かるうえに自由で、資金調達も必要ないのに、他人に売る必要はない”というのが、率直な回答でしょう。

コンサルファームを成長させるために入社してくる人はいない?

そもそもコンサルタントになる人の動機で、そのファームを成長させるために入社したい、みたいな人は見たことがありません。

コンサルティングをやっている動機が、コンサルティングファームを成長させることより、クライアント企業の成長に貢献することだという人もいますし、いろんなプロジェクトを経験してビジネスパーソンとして成長することだという動機の人も多いです。

これに対し、志望動機で”マッキンゼーの規模をさらに大きくするために御社を志望…”などという人は、確かにこれまで、一人もお目にかかったことがないのです。

あくまで成長すべきはクライアント企業であり、コンサルファームは”クライアント企業の成長をサポートする役割”とみなされているのです。

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